| アニマルレスキューシステム基金 スペシャル セレクション 日本の限られた資金の中で一体何が必要なのでしょうか?欧米の120年以上の動物福祉の歴史から、日本が決しておかしてはいけない過ちをクリフトン氏は指摘してくれていると私達は考えています。世界中で10,000以上の動物保護団体の関係者が購読するという中立な動物専門新聞「アニマル ピープル」より、私達が厳選したすばらしい社説をご紹介します。 ![]() Dr.Mackie 推薦 「動物シェルター建設の是非」 メリット クリフトン アニマル ピープル編集長 2003年11月社説より 転載許可取得済 訳 谷口 葉子 私のところには、毎日のように嘆きの声が届く。 「私たちは、地獄の向こう側とでもいうべき、憂鬱で、困窮した、奥地の未開発な場所に住んでいます。ここには、ノラ猫やノラ犬を去勢し、元の場所に戻すといった取り組みはもちろん、無料あるいは低料金でペットの不妊去勢手術をしたり、ワクチンを注射したりしてくれるサービスもありません。路頭に迷う動物たちは毒を食べさせられたり、銃で撃ち殺されたりしていますが、そのことで人々が咎められることはありません。犬は肉や皮革、猫は生皮が、生きているものは動物実験用に売られていきます。何百万もの動物がシェルターを必要としています。100匹のかわいそうな動物たちを収容するシェルターを建てるための資金を、どうか援助してください。」 このような訴えには胸が張り裂けるような思いを感じる。しかし、訴えにあったような状況下でシェルターを建設するための資金を提供したり、運営したりするということは、無意味で軽率な行為だといわざるを得ない。超過密なシェルターの中で、動物たちは現在の地獄を再び味わうことになるだけなのである。 どの人道援助機関にとってもいえることだが、シェルターは、不妊去勢手術、ワクチン注射、そして人々への教育活動に十分な資金が確保されている状態にあり、尚かつシェルター建設のために寄付金や土地が贈与されたような場合でない限り、その目的が達成されることはない。 もし不妊去勢、ワクチン注射、教育活動が既に成功し、適切な時期に適切な種類のシェルターを建てるというのであれば、活動の拡充の一環として意味のあるものとなろう。しかし、ホームレスの犬や猫の数が大幅に減り、人々が動物たちの悲惨な状況に同情して彼らの存在を容認できるようにならない限り、シェルター建設にお金を注ぎ込むことは猫のトイレをつくることよりも意味のないことなのである。 ![]() 幸い、不妊去勢手術やワクチン注射、教育活動にまず取り組むというのは、最小限の費用しかかからず、活動を初めて開始するグループでも取り組みやすい。例えば、ひとりのボランティアが知識を口コミで広めるということも、立派な教育活動である。不妊去勢手術やワクチン注射を低料金あるいは無料で提供しようという場合は、もちろん獣医師への支払いが必要となり、そのための資金を獲得する必要がある。しかし、通常の病院や移動式不妊去勢病院といった様式に関わらず、建物や医療設備といった巨額の支出は、それを支払えるだけの資金能力を身につけるまで行う必要はない。 不妊去勢とワクチン注射を行う活動では、獣医師への謝礼のほかに、動物を依頼主と獣医師のいるクリニックとの間を往復させるための輸送手段への支出がある。これは依頼主が高齢であったり、身体に障害があったり、貧困であるなどの理由で輸送手段を持たない場合にあてはまる。しかしこれも、無償で送り迎えをしてくれるボランティアの力を借りるか、さもなければワゴン車をレンタルするといった小額の支出で対処できる。路上の犬や猫を捕獲する作業が必要となる場合も、ボランティアの手を借りることができる。 不妊去勢手術・ワクチン注射・教育活動は、ペットの飼い主に費用を負担する能力や責任感が備わっているかどうかに関係なく、シェルターを建設する前に実施されるべきものである。この作業の必要性を無視することは、寝タバコ常習犯だという理由で隣人が火事に見舞われても無視するようなものである。もっとも、その隣人が教育されて責任ある行動をとることができるようになるというのが望ましいが、それでも起こってしまった火事の火は消し止められなければならない。 もし不妊去勢やワクチン注射の必要性が幅広く認識され、人々も教育されてこの問題に対する理解が深まれば、そのコミュニティーでは、従来型のシェルターを必要としなくなるであろう。 貧困に苦しむ農村地帯であっても、犬猫の過剰繁殖問題への取り組みが成功した事例がある。私たちが知り得る中で最も優れたものは、アレックス・バルベルデ獣医師とジェラルド・ビセンテ獣医師、マックビー・プロジェクトの創始者であるクリスティーン・クロフォードらがコスタリカで始めた「殺さず、シェルターを建てず」のアプローチである。私たちはビセンテ獣医師が香港で開催されたアジア・フォー・アニマルズの会議で演説をしたり、インドへの解説付きツアーを実施したりする際のスポンサーとなった。ビセンテ氏は、バルベルデ氏のように、コスタリカの獣医師免許認可委員会の前会長だ。公衆衛生を専門としている。ビセンテ氏は、ペットの過剰繁殖問題の解決にはコミュニティーによる支援が重要であることに注意を促している。教育活動を通して、人々が問題解決のための方策について理解を深め、進んで協力する意欲を養う必要がある、という考えだ。そこには、「一般の人々が悪い」というありきたりの態度や、動物を残酷で無関心な世間から守るためのシェルター建設を訴えるという、あまりに多くの動物保護活動家が陥りがちなレトリックは不在である。 コスタリカには動物のためのシェルターは存在せず、かつてあったものは閉鎖され、今後もシェルターを建てたいという希望も必要性もない、と、ビンセンテ氏は誇らしげに語る。ビンセンテ氏が言うように、どんな種類のシェルターでも、その建設・運営には多額の資金を必要とする。アメリカでは、民間の非営利団体や公共機関の資金がシェルター建設のために年間で20億ドルも費やされている。そのアメリカにおいてさえ、まだすべてのコミュニティーにシェルターが建てられているわけではない。シェルター建設が始まってから125年以上が経過する今でも、アメリカの農村地帯の半数の郡でまだ完全なシェルターは建てられていないのである。一方、ホームレスの犬猫が自由に繁殖を繰り返したり、あるいは意図的に繁殖させられたりする状況が野放しとなっている中で、十分なスペースのシェルターなどは到底ありえない。そうして、シェルター建設が犬猫の過剰繁殖問題への解決策ではないことが次第に明らかになってきたのだ。 また、シェルターを建てて、過剰に繁殖した犬猫をただ殺すというやり方は、数を安定的に減少させるということに対して、あまりに無策である。20世紀の間に、アメリカで捕獲され、殺された犬猫の数は、アジアで人間の食用のために殺された犬猫の総数を上回っていたと予想される。その驚愕すべき数がようやく低下し始めたのは、ほんの12年前からである。 どれだけ多くの犬猫を殺しても、繁殖力を持つ残存者がいる限り、動物たちの数は急速に回復し、またすぐにコミュニティーの厄介者として扱われるようになり、飢えに苦しむ日々を迎えることとなる。 ビンセンテ氏は、貧困地帯や農村地域、そして発展途上国では、高所得国が経験した失敗を繰り返す余地はない、と断言する。動物用シェルターは、犬猫の数が既に抑制されている場合にのみ建設されるべきである。さもなければ、シェルターは殺戮を繰り返す死の収容所、あるいは屠畜場と化してしまう。 もし動物の数がうまく抑制されれば、大都市でもない限り、特別な世話を要する、比較的少数の動物の世話だけをすればよいということになり、シェルターなしでも対応できるようになる。そのような場合、非営利の人道機関を通じて里親や一時預り施設にて効率的に収容することができる。 このやり方は、奥地にあるコミュニティーや農村地域では特に有効である。シェルターは都会に建てられることが多いため、そこまでに届けるための長い道のりが、犬猫を見捨ててしまうことの誘因のひとつとなっているからである。 シェルターの運営を経済的に成り立たせるための十分な資金提供者や里親がいないようなコミュニティーでは、シェルターを建てることにお金を使うよりも、政府によって捕獲され、引き渡しや買い戻し等それなりの労力をかけて再収用されている動物たちを集め、最もふさわしい里親へ渡すための動物保護活動家のネットワークを形成すべきである。 そのために必要となるのは、せいぜい机、電話、インターネット、里親に提供する犬猫の適切な世話に関する知識、そして里親ボランティアが犬猫の不妊去勢手術やワクチン注射を実施するために必要とする資金を集める能力ぐらいである。シェルターを持たずに里親探しをする方法は、少なくとも次の4つの方法がある。 |
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*ペッツ・マート(PETsMART)やペトコ(Petco)などの大きなペット販売店が実施する里親探しサービスを利用する。*頻繁に開催される公共の催しものなどの機会に里親探しイベントを頻繁に開催する。 *里親を探している動物に関する情報をウェブサイト上で提供する。 *犬猫やその他の飼育が容易な動物の受け入れを行う大都市の里親探し機関と連携する。 今日、アメリカやカナダ、そして西ヨーロッパの大都市では、里親に人気のある種の動物の数が不足している。農村や辺境地、そして発展途上国では未だに、仔犬や仔猫、そして小さな犬が動物保護活動家のもとに次々に届けられている。これらの動物を不妊去勢費用と引き換えに都市の里親探しセンターに届ければ、そのミスマッチが解消される。 それどころか、里親探しセンターが、不妊去勢せず、ワクチン注射もしていない動物を販売するペットショップや悪質なブリーダーによる大量繁殖場との市場競争に打ち勝ち、シェアを上げるのにも役立つのである。 |
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