調査方法と期間

主に午後4時〜7時半頃までの視覚的識別確認可能な時間帯に、調査シートを持った3名の調査員が双眼鏡で徘徊ネコの耳Vカット率を確認。耳Vカットがなく首輪をしている場合でも個別に世話人・飼い主に確認を直接取れた場合のみカウント。推定4ヶ月以下の仔猫はカウントしていない。調査期間中にARSFがTNRした分は数に含まれていない。




人口1000人あたりの処分数について



調査方法と期間

ARSFでは昨今確実に延びてきたノラ猫の平均寿命を8-10年と想定。そのため、ノラ猫の耳Vカットが確実に浸透し始めた5-6年前頃以前に手術を受けた猫の中には、手術のみを行い、耳カットを行っていない猫がいると思われる。ARSFでは、その数は最大5%程度いると見ている。

今回の1000頭調査では、64%(灘区)、42%(垂水区)、17%(長田区)と発表しているが、上記の理由から実際の手術率は、今回の調査結果に「手術済・耳カットなし状態で外を徘徊している猫」の予測率(3-5%)を加えて算出するのが適当であると考えられる。これにより算出した灘区の手術率は約70%(64+3〜5%)に達する。

神戸市のノラ猫問題の課題は、今回の1000頭調査で明らかになった 「不妊手術の普及率格差」をいかにして最も高い灘区レベルまで引き 上げるかということであるが、市全体での処分数推移から分析した結果 ARSFの戦略は
1)維持レベルか微減を狙う地域
2)徹底的に対策を打つ地域

の二本柱で臨むということだ。
現在、灘区では3年連続で年間処分数が減少している(※1)が、この事実は、後述のフィボナッチの70%ル−ル(※2)を証明したということに他ならない。



(※1)

1996年度から2005年度まで10年間に飼い主不明の仔猫(ノラの仔猫)としてガス処分されていた数は年平均2561匹で変化はほとんどなかった。
ARSFのクリニックプロジェクトは2006年11月11日に開始。同年の春前に対策が打てていなかったため、2006年度は一旦2569匹を記録するが、それ以降は確実に毎年減少傾向になる。
特に2008年11月期から2009年4月期までの半年間に集中して1000匹を超える不妊去勢手術と積極的なTNR(捕獲・不妊去勢・返却)を行った結果、2009年度は1年で1866匹まで大きく減少。2010年11月期から2011年4月期にかけても約1000匹規模の捕獲・不妊去勢を市民ボランティアと共に展開したため、既に2011年度第一四半期の段階で、開業前2006年度同期比50%減をほぼ達成している。



(※2)

編集者メリット・クリフトンは「フィボナッチ(Fibonacci)の70%ルール」をANIMAL PEOPLE誌2002年10月号の刊頭記事にとり上げた。私はその内容に強い興味を持ち、さらなる詳細をクリフトン氏に求めると同時に、自分でも調査をおこなった。この概念は根本的にペットの過剰繁殖問題に関連するため、問題解決の結果の良否を鋭く洞察する。
そしてこの問題に立ち向かい、決定権を持つ全ての人々が充分に理解しておくべき価値のある概念である。
時の数学者レオナルド・フィボナッチ(Leonard Fibonacci)は、1200年代初頭に農業生産に関する公式(モデル)を作りあげた。その600年後、ルイ・パスツール(Louis Pasteur)は伝染病予防ワクチンの初期開発に取り組んだ時、このモデルを使ってほとんどの伝染病の流行を防ぐには感受性集団のうちの70%が予防接種を受ける必要があることを予測した。このフィボナッチの70%モデルは、世界保健機関(WHO)や疾病管理センター (CDC)などの主導的な公衆衛生機関から、現在もなお有効と認められている。

ペットの不妊手術は、実質的にいえば「過剰繁殖」という伝染病を予防する「ワクチン接種」であると考えてもそれほどの飛躍ではないだろう。この前提に立てば、「ある地域において「過剰繁殖」という病気に効果を上げ、結果としてその地域内の集団数を減らすためには、その統計範囲内における感受性集団(外で自由に繁殖する特権を持った動物たち)の70%に対して不妊手術をおこなう必要があると言えるだろう。不妊手術率70%を達成することにより、残り30%の伝播率(繁殖が成立する確立)は、生まれる数が自然に減少する数と同程度になるまで減少する。」と説いている。

70%ル−ルは、米国の動物NPO界で広く認知された繁殖予防の鉄則である。定められた範囲であればどのような地域にも完全に適用できる。孤立した小さな町やコミュニティ―、ノラ猫の生息区域にも適用できるので日本での成功例が期待できる。ARSFでは今回の再掲載に関して70%ル−ルを最初に紹介したAnimal Peopleのメリット クリフトン氏(以下MC氏)に70%ル−ルについて意見を求めた。MC氏はその中で、マッキ―獣医師の論文に繋がった私の原文は、もともと路上を自由に徘徊するインドの犬たち(street dogs)のことを書いたものだったと述べた。


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